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[3185] 梅雨時ですが、ちょっとは風情を (22 レス) 2003/06/25(Wed) 13:04:53 |
ぼけ さん |
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ホタルの発光サイクルって 日本の東西で違うんですね・・知らなかった うちの周りは2秒かなあ http://www.iwamuro-onsen.com/hotaru/ 1. まりも 2003/06/25(Wed) 13:07:43
今年、ホタル観察がブームみたいですが、いったいどうしたんだろう…?
2. 豆 2003/06/25(Wed) 21:40:15
最近は放流で東西のが交配したせいで、一部サイクルがおかしくなるケースもあるみたいですね。
>今年、ホタル観察がブーム
日曜朝の某TVヒーローが蛍顔な所為でしょうか?(違 「蛍の光」は交尾のためのシグナルです。したがって、安易な養殖・放虫は生態系を破壊する危険があります。
でも、もっと大問題なのは外国産クワガタ類の輸入・放虫です……。 5. 伝説のペペロンチーノEpion 2003/06/26(Thu) 22:15:24
ホタルに限って言えば現状の放虫が生態系を「破壊」するほどの規模の物ではないと思いますし,なによりホタル程度の生命力(表現は悪いですが)の昆虫がこの程度のレベルの放虫で生態系を破壊できるほど自然は甘くはないかと.
ある程度のイレギュラーに対して自然は,それを自己修復する作用を持ってますし. 外国産の昆虫がはびこってるのは,昆虫自身の単純な繁殖活動だけでなく放虫された環境に天敵がいない事をはじめとして「本来の棲息地域以上に住みやすい・増えやすい環境」があった結果です. それとこれとを同じベクトルで議論するのはちょっと違う気がしますよ. それより「ホタルを放虫しなければならない」時点ですでに生態系は壊されてしまってるという,放虫以前の根本的な問題の方が重要だとも・・・ 7. ぼけ 2003/06/27(Fri) 03:27:18
>ホタルを放虫しなければならない」時点ですでに生態系は壊されてしまってる
確かに農業用水路等は生産性向上の名目でコンクリートのU字講なりましたし、長期に渡り農村部では農薬の過剰な使用があったのは紛れもない事実ですね。 もっと大きい視点で生態系を壊すものがあるのかもしれませんが・・。 話はそれますが、その農薬の蓄積の結果 日本一の大河といわれる信濃川では下流になるほど農薬による飲料水の汚染で、胆のうガンが増えるそうです。 (農薬と胆嚢ガンとの因果関係は私には説明できませんが、農事関係者で同癌になった叔父が調べた話です) 昆虫もさることながら、人間自体も十分に影響を戴いているようですね。 8. シビすけ 2003/06/27(Fri) 10:52:47
ふだんどる仲は完全ROMですが。
>「蛍の光」は交尾のためのシグナルです。したがって、安易な養殖・放虫は生態系を破壊する危険があります。 という甲虫王さんの書き込みは, 「安易なある1種のホタルの放虫がある1種のホタルの遺伝子攪乱を引き起こし,あるホタルの地域固有の個体群を破壊する危険がある」 ということを意図した書き込みかと脳内で勝手に補完しましたが。こういう意味ならば,外国産クワガタの記述ともつながりますし。 もしそうであったものとして話を進めますが。 ホタルなり外国産クワガタなり,もともとそれがいなかった地域への人間による安易で勝手な導入(実際にあいのこができているらしいですし)によって,その地域のその種あるいは近縁種への遺伝子攪乱を引き起こしているのは事実でしょう。 そして誰もその影響を評価できていない以上,やはりその行為は問題なのでは。 もちろん「生態系の自己修復作用」「外来種に天敵がすくない(いない)」など,生態系についての基本的なところは,ペペロンチーノ氏に全面的に賛同します。 9. 伝説のペペロンチーノEpion 2003/06/27(Fri) 12:08:57
なるほど,そう言うくくり方もありましたね.
だとすると逆の見方をしますが,意図的に持ち込まない限り生息域そのものが隔絶した外来種と,棲息地域が地続きで人間の意図的介入が無くても交配の可能性がある日本産ホタルとだと話が分かれるんじゃないかとも思うんですがどうでしょ. 「フォッサマグナを境に」つーと気候よりも地理的条件による棲み分け結果になるでしょうが,ここを越える手段が太古の昔から無かったわけでもないでしょうし・・・ また「安易な放虫」とは言いますが,ホタルの場合は「その地域で育てた個体を代々その地域で放す」ような,比較的狭い範囲での介入になる場合がほとんどかと思います. なのでそれがホタルという種全体にかかわる遺伝的な影響としてどういうものかっつーと少し微妙な気がします. 単にホタルの放虫行為に関しての考え方の違いなんですが,自分としては外国産昆虫の文字通り「その動機があまりにも安易な」「生態系変化に影響することが明らかな」放虫とはまた質の違ったものだという思いがありまして. 10. BVV5@Vice Admiral 2003/06/27(Fri) 12:48:18
>棲息地域が地続きで人間の意図的介入が無くても交配の可能性
(^_^/そう思います。日本本州固有の種であれば、どこかで交配の可能性はあったわけです。 元々、大陸から切り離されてからこっちは独自の進化をしているわけで。 全くの外来種の放虫、放魚は違う次元の話です。 11. i96968 2003/06/27(Fri) 12:56:07
>信濃川では下流になるほど農薬による飲料水の汚染
ふっふっふっ、その最下流で飲んでますよ、はい。(T_T) たまに長野とかに行くと、へ〜、信濃川(千曲川)の水ってこんなにおいしかったんだ〜、と。 >ホタルを放虫しなければならない」時点ですでに生態系は壊されてしまってる 私の実家の更に田舎の方は、昔は田圃に蛍が乱舞してたんですが、上の山にゴルフ場ができてから激減。それでも10年くらい前までは見られたのですが、今はもう数えるくらいしか‥‥ で、件のゴルフ場はお決まりのバブル崩壊で閑古鳥‥‥当時はどうやら日本中をゴルフ場(&リゾート)に変えたかったらしいですね。ゴルフをする人の気持ちは分かりませんが、あの農薬が堆積し、朝靄と共に立ち上るコースに気持ちの良い朝からいる勇気は私には‥‥ >生態系 生態系には詳しくないので論議には参加できませんが、人間を自然界の一部と見るか異質なものと見るかで結論は変わってくるような。 例えば、渡り鳥を固定生息しない異質な種と見れば、彼らが起こすウィルスの突然変異やそれに起因する生態系の変化も、一種の破壊といえなくはないわけで。でも渡りをその種固有の活動と見れば、生態系の一部となり、結論は全く異なってきます。 >シビすけさん
おっしゃるとおりです。言葉足らずだったようですみません。 遺伝子撹乱も生態系の破壊にはちがいないと思っていますので……。 >交配の可能性がある日本産ホタル あまり専門的な話は場違いと思いますが、蛍の光は交尾のためのシグナルなので、これがおかしくなると種の存続の危険も考えられます。 自治体などが安易に違う系統のホタルを持ってきて養殖し、放すということをずっと続けていけば、その地方のホタルは違う系統のものが主流になってきてしまいます。 もちろん、同じ系統のものを養殖・放虫することはその点については問題ありません。 外国産クワガタについても、(大きな意味での)生態系の破壊ということではなく、既存の日本産のものとの交雑が大きな問題となっています(現に、野外で雑種が相当数採集されています)。また、以前(現在も?)Epionさんが飼育されていたと記憶しているサキシマヒラタクワガタは、ヒラタクワガタの八重山諸島産の亜種で、本土産のヒラタクワガタとは微妙に違います。 それだけに簡単に交雑してしまうわけです(種レベルでは同じものですから)。このような日本産であっても、自然の分布を無視した場合はやはり危険です。 13. シビすけ 2003/06/27(Fri) 14:45:49
う〜ん。私も言葉足らずでした(汗。
私の発言で風情も何も全然なくなって,もとの話題とはかけ離れてしまったのが心苦しいのですが。 まず地域的な固有種(サキシマなんとかとか,オガサワラなんとか,エゾなんとか)以外の日本列島の本州に棲息する動植物は,当然人為がなかったとしても,ある程度の交流はあり得ると思います。ただしもともと移動能力の小さい生物の場合,その交流がほとんど起こらず,外見ではほとんど同じで種レベルの違いではありませんが,地域固有の性質を持つものがあります。ホタルもそれに相当し,光の間隔が違うのはその好例です。 仮にA地方にいるゲンジボタルをゲンジボタルA,B地方にいるゲンジボタルをゲンジボタルBとします。ゲンジBがA地方に持ち込まれることによって,本来ほとんど行き交うことのなかったゲンジAとゲンジBが交配し,たまたまゲンジBの方が繁殖力が強かったとします。A地方で,ゲンジBの遺伝子の影響を強く持つゲンジABが増えてしまったとしたら,その行為と結果は,外来種の放虫とそれにともなう遺伝子攪乱とレベルの差はあるにしろ異なるものではないと思います。 これは種レベルとしてのホタルの存続に関わる問題ではないかも知れませんが,ゲンジAの存続には関わります。 (追加:可能性の問題としては,たとえばゲンジAはXという環境変化に強く,ゲンジBはYという環境変化に強かったとします。が,ゲンジABになってしまったことで,ゲンジボタルという種が,XにもYにも対応できなくなってしまった場合,種の存続にも関わってきます) そして人間によって他地域の個体群が移入,増殖され,野外に放たれる行為というのは,無意識のまま割と頻繁に行われています。私はホタルについてはよく知りませんが,植物や魚類では本当に普通にやられてしまっています。 >人間を自然界の一部と見るか異質なものと見るかで結論は変わってくるような。 i96968さんのおっしゃるとおりです。 一応(生物系研究分野の)分野ごとに見解は出ていますが,こればっかりは個々人の考え方次第です。 私は,人間が自然界の一部であることには異論をはさみませんが,移入種の問題に関して言えば,(人間を除いた)自然界では起こりえないような生物の移動(=すなわち移入)をするべきではない,という立場です。 よってこのたびのホタルの問題について,次のように考えています。 1.種内部での遺伝子攪乱も立派な生態系の破壊である。 2.自然界では起こりえないような生物の移動をするべきではない(大前提)。 3.同じ種であっても他地域からの移入によって「地域固有の個体群」が消滅したり,改変される可能性がある。 4.ホタルについても「その地域で育てた個体を代々その地域で放す」以外の行為,つまり他地域の個体群を移入して増殖する行為が割と頻繁に行われている。 5.この危険性は外国産クワガタの安易な放虫が引き起こすであろう危険性と異なるものではない。 ……こんなことしていていいのだろうか(汗。いや大きく見れば仕事だということで。 14. i96968 2003/06/27(Fri) 17:13:23
>移入種の問題に関して言えば,(人間を除いた)自然界では起こり
>えないような生物の移動(=すなわち移入)をするべきではない シビすけ さんに一票。 15. 伝説のペペロンチーノEpion 2003/06/27(Fri) 17:36:05
サキシマヒラタに関してはその辺り認識の上,たとえばうちで殖えた個体を知り合いの子なんかにお裾分けするなどする際にはその保護者にちょっとした説明をしてから分けてますね.
その後ちと飼い方に失敗しましてサキシマを絶やしてしまったのですが,今年の春からダイオウヒラタなんてのを飼い始めました. やっぱり飼ってて気をつけるべきと思うところは同じです. 外来昆虫のように「明らかに人為的な行為でもなければありえない交配」の条件を軽々しく人間が仲介している現状はとても残念で,同じ昆虫飼いとして苛立ちすら感じます. ただ今回のホタルの件に関しては果たしてそれと同等に批判されるに達するほどの規模や範囲で,それが行われてるのかと言うところに「?」を感じて↑のようなレスをつけた次第です. また自然の自浄作用に関連してですが, ○そのような交配で生まれた雑種が正常なホタルを駆逐して広がっていくほどの規模で存在するのか ○またそのような雑種が今後正常種を駆逐して反映するだけ反映力があるのか (突然変異や異常種であってもそのまま定着するものと淘汰されるものがあるので) ○そもそも異常種の繁栄の原因は本当に人間の行為によるものなのかどうか,現在存在する異常種の主力の源流が自然交配による個体だという線はないのか ・・・などなど,そう言ったところまで含め置いてはじめてホタルの放虫についての議論が成り立つんじゃないのかなって思ったわけです. 専門ってわけでもないですが,昆虫の世界とは趣味でも仕事でも決して因縁浅からぬ(笑)関係にあるので思わず飛び込んでしまいました(^^;) >自然界では起こりえないような生物の移動をするべきではない(大前提)。
この種の行為にはどこまでなら許されるという「境界」があるんでしょうかね? このへんの判断は誰がするのか、興味があったりします。(毒 さてEpionさんは事前に保護者にご説明すればお裾分けOKとされてますが、 それで放虫が確実に防げますかね? 普通の親なら「可愛そうだからお山に帰してあげよう」などと子どもが言い出したら、 まず「○○君は優しいね」などと言って大賛成するんじゃないでしょうか。 例え事前に生態系破壊について説明を受けていたとしても、です。 つまり、厳しい見方をするならご自分の管理範囲外に出してはいけない、という 考え方だってあると思います。 もっと極端な話もしてみましょうか。 どんな飼い方をされてるか知らないので具体例は挙げられないのですが、 何らかの事故で飼っているクワガタが野に逃げ出す可能性は0%と言い切れるでしょうか。 事故は事故、人為的に放虫したわけではありませんが、生態系に与える影響は結果的に同じです。 だとすれば外来種昆虫を持ち込んで飼っている時点で×という考え方だって出来ると思います。 あー、Epionさんを槍玉に挙げるのが本意ではないのですが...、槍玉に挙げてますね。(^^;; 申し訳ありません。 えーと、言いたかったのはクワガタに限った話ではなくてですね、 飼いきれなくなったペットが捨てられたり、管理不充分で逃げ出したりする事件が 結構ありますよね。ニュースでもたまに取り上げられたり。 中には外国産の猿だの鳥だのは虫類だの、今じゃ何でもペットになる時代だから それこそいろんな種類の生物がいますね。 これを防ぐには生態系破壊に繋がる放擲を禁止してもほとんど実効性ないですよね。 実効性を上げるには入口の部分、国内への持ち込み段階で禁止したり、 あるいは外来種生物の保有(飼育)を全面的に禁止したりしないと無理だと思うんですよ。 で、こんなこと考えてると犬・猫は特例として認めて良いという意見が出ると 思うんです。何しろチワワもアメショーも外来種ですからね。 すると、犬・猫は良くてなんでハムスターは駄目なんだとかいう話になって、 結局どこで「境界」区切るかなんて人それぞれ千差万別で...。 #昼間からいろいろ考えてたんだけど、全然まとまらないので滅茶苦茶なまま投稿しちゃいます。m(__)m なんか読み返すとやっぱりEpionさん攻撃になってるのでひとこと弁明を。
たまたま例として借用しただけです。他意はありません。 第一、自分のことは完全に棚に上げてます。 18. かねやす 2003/06/28(Sat) 01:05:57
蛍は清流でないところで放流されてもたぶん孵化してすぐ死ぬので
実害ないんでは。 そういえば最近旬?なカブトエビは全部外来種ですなあ。 19. 伝説のペペロンチーノEpion 2003/06/28(Sat) 01:43:51
>普通の親なら「可愛そうだからお山に帰してあげよう」などと子どもが言い出したら、
>まず「○○君は優しいね」などと言って大賛成するんじゃないでしょうか。 ああ,それはありえないのでご安心を(笑) むしろそう言う展開になったら目尻をつり上げてでも子供にその辺の理屈を語って聞かせてくれるでしょう. そう言う意味ではまったく普通の親ではありませんな(何 #最近そう言う手続きを省略しておいて子供は良い子ちゃんに育てたがる #ある意味利己的な親が多く,一方でかわいそうな子供が増えてます. #その狭間で教えられるべき事を教えられずに現実に直面したとき #混乱するのはいつも子供の方. #職場で出会う子供達にもいろいろあるようで・・・ちゅーのはまた別の話か. 詳細をお話しすると,文字通り「簡単にその昆虫の素性を話して一言添える」だけですべてを理解するような知人にしかお裾分けしませんので. 子供に分けると言っても別に不特定多数でもないし,まして私の知人連中というと職業柄・経歴柄そう言うことにはそれなりに理解がある人間ばかりですから飼い方などもそれなりに気を遣ってくれてます. その飼い方が完璧かどうかは知りませんが,少なくとも無思慮・無配慮なものとは違ってますね. 頂いたレスを拝見する限りでは,そう言う配慮ごときでは足りないと一蹴されそうな勢いですが・・・ まぁ,この辺の特に線引きに関しては捕鯨の賛否と同様ある一定の思想から以降は,いくら論を尽くそうが結果的に平行線になる種類の議論かとも思います. 私は別に白黒どっちかに落ち着けたいとも思わないので,「そう言う見方ばかりじゃなく,こんな見方・考え方もあるからそこまで断定的に言わなくても・・・」と言う意見を載っけたかったまでですんで.>本題のホタル放虫ネタ なんか期せずしてえらく深い方向の議論に走ってしまいましたが,本心としてはそんなところです. >そういえば最近旬?なカブトエビは全部外来種ですなあ。 カブトエビっちゅーのも調べるとムチャクチャ奥が深くて,一時期(と言っても高校時代くらい)にかなりその調査に没頭してたことがありますね. その生態がまた謎めいてて面白いんですよ.同じエリアに並んだ水田なのに同時に発生せず,なぜか各水田で順番に発生→消滅を繰り返すとかそう言う辺り. 日本産の種って無い訳じゃないような記述があったけどどうだったっけか・・・古い話なのでかなり怪しいです(ぉ ちなみにオーストラリアのエアーズロックのてっぺんにある水たまりには,そこにしかいないというなんともマニアックな素性のカブトエビがいるそうです(笑) 20. kita 2003/06/28(Sat) 02:20:54
生態学ねたで盛り上がるのを見るのはうれしいです。
この手の議論は未だに決着を見ていない「種の定義」論争が関わりますね。 基本的な定義は、AとBが交配して子孫を残せる時、AとBは同種です。 地理的隔離が、遺伝的な地域間の変異につながり、結果として個体群間の交雑の可能性がなくなります。種分化のプロセスは多くはこの地理的隔離が多いようです。 2つの同種個体群が2つの種となるときについて。 交配のシグナル(例えば蛙の鳴き声とか)など変化などにより交尾行動が起きなくなること(交配前隔離)によって、種分化が起きる場合があります。あるいは、交尾行動は起こるけれど遺伝子レベルでの違いが大きすぎて発生がうまくいかない場合もあります。(交配後隔離) また第一世代が作れても、世代を重ねると交雑個体群が安定して維持されないことがあります。(雑種崩壊) さて、一見すると、上記を踏まえて、個体群AとBが同種であるか判定するには、両者を交配させて安定した個体群を形成できるかどうかを決定できるように見えます。 しかし種の定義とは、実は結構あやういものです。次のように考えてみましょう。 隣り合う3つの生息地にすむ近縁の個体群P、Q、Rがあったとします。もしP-Q間で子孫が残せるとしたら、PとQは同種です。さらにQ-R間でも子孫が残せるとしますと、QとRは同種です。ということはPとRは同種だといってよさそうです。ところがどっこい、P-R間で子孫を残せないということが、実際に起きるのです。つまり遺伝的な変異というものはグラディエーション的なものであり、その変異を種内変異と呼ぶか、別種と呼ぶかはきちんと決められない(少なくとも交配が可能かどうかを種の定義とする場合には)ことがあるということです。 交配の可能性があるないの話も、じつに微妙な問題です。ある山脈で隔てられた2つの淡水魚の個体群を、現段階で一緒に飼えばちゃんと卵が孵るけれど、1000年後も孵るかどうかはわからない。人間が実験すると、ちゃんと子孫を残すので同種だ、と言えても、現実にはすでに個体群間の遺伝的交雑の可能性が断たれている。こうした場合、いったいいつの時点で両者は別種と呼べるのか。うーむ。 種の定義の議論は、生物の世界が実際にどのようになっているのかを考える上でよいネタとなります。 21. kita 2003/06/28(Sat) 02:33:37
今回の蛍の場合、みなさんが危惧されているのは、交配前隔離が完全でない時、その結果できた雑種が在来の個体群にどのように影響するのか、ということでしょうね。
雑種の適応度の方が高い場合、雑種が在来種よりも多くの子孫を残しますが、この場合、(ある対立遺伝子座に注目すれば)雑種からは常にメンデルの「分離の法則」により在来種が生まれてきます。こういうときは、ある遺伝子頻度で平衡に達し、在来、雑種の個体数が一定の比率に保たれるでしょう。 #ただ、普通は在来種がその環境に最適化されていると考えてよいので、交雑によって出来た雑種が在来種より適応度が高いということはあまり考えられません。むしろ、同一ニッチェを占める異種の侵入か、強力な捕食者の出現の方が重大でしょうね。 一方で、雑種の適応度が低くて雑種が定着するわけではないとき。一見問題なさそうですが、こういう場合でも個体群サイズが圧倒的に違う場合は、小さい方の個体群が残す子孫のほとんどが雑種となってしまうので、小さい方の個体群は絶滅することになります。 まあ、なんにせよ人為的な移入がよいとは言えないんでしょうね。といって、最近たまに言われるような「交雑によって生まれた個体群は"純粋でないから"駆除すべき」だ、という意見には賛同しかねるものがあります。多分、「風の谷のナウシカ」の影響です(笑 #シビすけさんの議論に補足すると形質Aが環境条件Xに形質Bが環境条件Yに対して適応的で、かつAとBが対立遺伝子座にあるとすると、環境条件Xの場合と、環境条件Yの場合それぞれで淘汰圧がかかり、それぞれの状態に対して平衡遺伝子頻度が決まることになります。集団遺伝学の分野の問題ですね。 あるいは、量的形質(例えば尻尾の長い短い)を支配する遺伝子が関係する場合とかだったら、環境条件XではAが進化的に安定(適応度が最大)なので個体群全体がAになります。同様に環境条件YではBになります。このさい、両者の中間は環境条件Xに対しても、Yに対しても適応的でないので、常に淘汰されつづけます。このようにしてある生物種が、2つの環境それぞれに適応した2つの種へと分化することがあるわけです。(ダーウィン・フィンチの嘴とかの例がこれかな?) 22. シビすけ 2003/06/28(Sat) 23:13:44
亀レス失礼。
kitaさん,フォローありがとうございます。 > 雑種が在来の個体群にどのように影響するのか、ということでしょうね。 結局はそこですね。 まあ何にせよ,どうなるか予測ができない以上,できるだけ他地域のものを持ち込まない方がいいのは確かでしょう。 |